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【遠征レポート】「GRAN PRIX DE AMAZONAS」試合レポート

2021-10-11



史上初となる女子版グランプリは、世界各国から14選手が参加。過去、男子は15回の開催があったが、女子はこれが初。試合前での入場セレモニーでは各国代表の国旗を持ったエデカン(エスコートガール)が先導しての入場。まずは多国籍軍、続いてメキシコ軍が登場した。多国籍軍の最後を務めたのはつくしだった。



各国の選手たちが集う中、注目を浴びていたのが日本勢。来墨してから毎日、新聞、ラジオ、テレビ、ネット媒体の取材を受け続け、日本の女子プロレスのPRに努めた。

そしてメキシコでの試合が始まってからも、日本人選手はここまで無傷の3連勝。この日もし3人のうちの誰かが優勝を果たせば、日本の実力を満天下に示すこととなる。

メインの前には、ミスティコ、ボラドール、ゲレーロスらによる試合が組まれ、女子のビッグマッチ感を一層、演出していた。

セレモニーでは軍隊が四方から整列して現れ、中央ではメキシコ国旗が掲げられた。その後、メキシコ国歌の斉唱。アレナメヒコに集ったファンは国歌を一緒に歌ってメキシコ側の勝利を願った。

日本人選手にとってはアウェイのなかでのスタート。試合はトルネオ・シベルネティコ(CMLL式イリミネーションマッチ)が採用された。

トルネオ・シベルネティコのルールは、オーバー・ザ・トップロープなしの負け抜けで、最後に残った選手の勝ちとなる。もし相手側チームが全滅した場合、同チームの選手同士で戦い、最後に残った1人が勝者となる。基本は7人の中の一人づつが1対1で戦い、次に出る選手がコーナーに控えるという形式だ。

試合はソンヤとアマポーラから開始。シングル形式とは言うものの、誰かが場外へと落ちるたびに、両軍が入り乱れての大乱闘。

負け抜けというルールのなか、まずはダリスがシャープシューターをアマポーラに決めて一人目が脱落。いきなり、実力者のアマポーラが敗れるという波乱のスタート。続いてバッケルがスヘイのみちのくドライバーUの前に敗退。

6対6という図式になるなか、藤本とシルエタの攻防に。藤本はシルエタをコーナーに追い込むとつくし、向後、藤本の順に串刺しドロップキックへ。ここで3人はこのツアー中に編み出した拝みポーズを見せる。観客は大ブーイング。

続いて、向後とシルエタの攻防では、向後のボディアタックが華麗なフォームで決まる。前々夜のミスティコ練習の効果が発揮された。





その後、マルセラがソンヤ、ダリスがイシスからフォールを奪い、5対5にまで人数が減る。この後、ダリスがマルセラをマヒストラルをつぶすような形でフォール。マルセラもここで敗退となった。

続いて、藤本&つくしのドロップキッカーズとハロチータ&ジュビアのナショナルタッグ王者の攻防に。





藤本&つくしがダブルのウラカンを決めると、さらにクラウチングスタートからのダブルドロップキック。藤本のミサイルキック、つくしのダイビングフットスタンプと続いて、この勢いに乗って最後はハルカゼを決めてジュビアからフォール。つくしがナショナルタッグ王者の一角であるジュビアの牙城を崩した。



続いて向後とシルエタに。向後はフィッシャーマンを決めるも、すぐさま、逆にフィッシャーマンを決められ3カウント。ここで日本陣営が一人脱落。

その後、つくしとハロチータとなり、両者の攻防が続く中、つくしがソフトクリームに決めて、ハロチータが脱落。

つくしはこの1試合でハロチータ、ジュビアとナショナルタッグ王者から連続フォールを奪った。これにはメキシコのファンも騒然。対抗戦ムードはますます盛り上がる。





残るメンバーはスヘイ、シルエタ対藤本、つくし、ダリス。

藤本、つくし、ダリスはスヘイに太鼓の乱れうちからストンピングでラッシュをかける。しかし一瞬のスキを付いたスヘイがダリスを丸め込む。優勝候補のダリスがここで姿を消した。



こうして、藤本、つくし対スヘイ&シルエタという2対2の状況に。藤本がドロップキックでシルエタとスヘイを場外へ落とす。

ここで藤本とつくしがそれぞれ別のコーナーへ駆けあがるとプランチャの競演!場内は大歓声。ドロップキッカーズがブーイングを歓声に変えた。



そして、リング内に戻ったシルエタとスヘイに藤本、つくしがそれぞれビーナスクラッチに捕らえる。決まれば藤本とつくしによる決勝かと思われたが、これはともにカウント2でクリア。ここで藤本は満を持してビーナスシュート!ついに現CMLL世界女子王者のスヘイが3カウントを喫して没落。

これで藤本、つくし対シルエタとなった。シルエタはドロップキックで藤本を場外に落とす。その間につくしはカサドーラ狙いに行くが、シルエタは堪えてそのままジャーマンに。つくしはここでついに消えた。

決勝となったのは藤本とシルエタ。場内は大メヒココール。藤本はミサイルキックからたいようちゃんボムとつなげる。



しかしシルエタもバッククラッカーで返す。藤本は延髄蹴りからPK。さらにストンピングのラッシュ。場内からはブーイングが飛ぶ。ここでトップロープからの攻撃を狙うがシルエタはここで藤本をとらえると雪崩式ブレンバスター。これでついに藤本が沈み、シルエタの優勝となった。

優勝したシルエタの祝福にメキシコ軍が姿を見せて駆け寄る。

最後の最後、日本人選手を破ったことによる祝福と安どの表情がどの選手からもうかがえた。

シルエタと藤本は握手を交わし、ともに「もう一回」のポーズ。



シルエタはテクニカからルーダへと転向し、ダークバージョンとなったことがきっかけで、ブレイク中だったが、ついにグランプリ覇者にまで上り詰めた。そして、プレゼンテーターのミスティコからシルエタに優勝の大カップが渡され、紙吹雪がリング内を舞った。



試合後の日本人選手コメントは次の通り。

「入場するまでどのくらいのお客さんがいてどういう雰囲気かわからないんですよ。でも控えてるときにお客さんの歓声が今までにないくらい大声援が聞こえてきて、私たちは本当に歴史的な瞬間に私たちは立ちあえてるんだなって実感しましたね。でもやっぱり悔しかったですね。最後まで残って取られた瞬間、アウェイだったのもあったので大歓声でしたよね。今度は自分がこの歓声を浴びたいし、あのトロフィーを掲げて優勝を感じたいと強く思いました。今回はメキシコ対多国籍軍という形でしたけど、いろんな国、すべての国が素晴らしいなと思いました。ビバ、ハポン!ビバ、メヒコ!」(藤本)

「優勝はできないのは悔しかったんですけど、ナショナルタッグ王者であるハロチータやジュビアからフォールを取ることができたのは大きいことだったと思うし、ハルカゼやソフトクリーム、自分のフィニッシュ技で取れたことはうれしかったです。でも、負けて控室に戻ってきて自然と涙が出てきました。それは悔しいという気持ちもあるし、こういう大きな大会に出られたという嬉しさと同時の涙でした。第二回があれば自分が最後まで残って必ず優勝したいと思います」(つくし)

「入場式の時からメキシコ国歌が流れていたりして、すごいアウェイ感のなかで緊張していたんですけど、試合が始まったら自分のなかでできること…自分のできる技をほとんど出し切ったので、精一杯できたかなと思います。でも今回、自分はだれからも一本を取ることができなかったのでもし次の機会があれば自分が絶対に3を取って優勝を目指したいです」(向後)

■10月8日 アレナメヒコ
▼GRAN PRIX DE AMAZONAS
ダーク・シエルタ(片エビ固め)藤本つかさ ※GRAN PRIX DE AMAZONASはシルエタが優勝。

<出場選手>
CMLL軍=ハロチータ、マルセラ、アマポーラ、ダーク・シルエタ、プリンセサ・スヘイ、レイナ・イシス、ジュビア。

多国籍軍=藤本つかさ、春輝つくし、向後桃(以上日本)、アビスパ・ドラダ(米)、ダリス(パナマ)、ステファニー・バッケル(チリ)、ソンヤ(コスタリカ)

-Special thanks to CMLL
-Photos by (C) CMLL.com /Alexis Salazar